2020年ライブ振り返り

今年は1回しかライブハウスに行かなかった。
その1回も「コロナやばいんじゃね?」って空気がどんどん広がっていた2月末。そのすぐ後に大阪のライブハウスでクラスターが発生した(していた)という報道があり、いよいよライブハウスに行きづらい空気になって行った。

その代わりに配信では何本かのライブを観た。
いくつか印象に残ったものを書く。

まずはうしろ前さかさ族主催の「ニュースポーツオンラインセミナー」。最初の放送は5月30日。
これは正確にはライブではなく、うしろ前さかさ族の呼びかけに応じてくれた各出演者のPVやライブ映像を代わる代わる観て、対バンイベントの感覚を味わうというもの。
個人的にはライブハウスに行く最大の楽しみは、知らない音楽に出会うことにある。だから対バンイベントが好きだし、この1年そういう欲求を最大限に満たしてくれたイベントがこれだった。
2日制のものを1回と数えると、今年は6回開催されたけど、毎回面白い出演者に出会えてすごく楽しかった。感謝感謝。

9月17日に配信された「しーなとシュウの薬研堀夜市」。
これはきちんとライブ会場で行われたライブの生配信。仮にコロナがなかったとしても会場が遥か広島だったので、普通だったら観に行けなかったけれども、そういう点では怪我の功名とでも言うか、配信があって良かったなと。
お二人のライブを観るのは2016年にはぐレ企画のイベントに出演していただいた時以来となる。
映像、音質ともクオリティの高い素晴らしい配信で、お二人の声の魅力も演奏の妙技も堪能できた。コメントで他のお客さんとも盛り上がったし、配信でここまで楽しめるなら現場行かなくてもいいじゃんなどと、逆の意味で不謹慎なことを一瞬思ってしまったくらいだ。

音楽ではないけど、12月16日の「ザ・地下クイズショウ」。
その名の通りクイズのイベント。出演者は基本的に座ってて動かないし、基本的に声が聞きとれればいいので求められる映像のクオリティは高くないけども、会場のNaked Loftはコロナが流行る前から配信もちょくちょくやってたハコだし、さすがにしっかりしていた。

今年最後に観たのは12月30日にZher the ZOO YOYOGI(以下ザーザズー)で行われた「Good bye 2020! Thank you Zher the ZOO!!」。
私の元職場でもあるザーザズーは今年一杯で閉店となる。つまり最後のライブ。
実際には1月にも既にブッキングが決まっている公演は行われるが、一応ここで一区切りとなる。
目当ては糖質制限。私の元同僚がやっているバンド。
曲はどれもカッコ良かったんだけど、歌詞を聞いてると胸が苦しくなることが何度かあった。
彼はライブハウスで働いている時、ここで歌ってるようなことをぐっと飲み込んだことがきっと何度もあったはずだ。もしかしたら声に出してぶちまけたこともあったかもしれない。私も一緒に働いてて十分に彼をサポートできてたとは思えないし、とにかく色々と私情がこみ上げてきて聴くのが辛いこともあったが最後まで観た。
ただ一晩寝てアーカイブを振り返ってみると、初見の時には気づく余裕のなかった曲の魅力がわかったりして、その点は配信チケット買って良かったかなと思う。

後番のEmpty Black Boxはもう無心で観た。現場で踊りながら聴きたいやつだわ。
ちなみに映像は少なくとも4台くらいはカメラ使ってて、切り替えも素人仕事って感じじゃなかったし、バンドのライブがこのレベルで観られるならかなり満足。

・・・と、今年配信で観たイベントをいくつか簡単に振り返ってみた。
演奏している側からすると、受け手が目の前にいるかどうかというのは小さからざる要素かと思う。ただ決められたプログラムをこなすのではなく、聴衆の反応をダイレクトに感じながらそれが演奏にも影響されていくのがライブ。コール&レスポンスのようなわかりやすい形でなくとも、そこにはある種無言(有言)のやり取りがあるはずだ。(受け手側は自分を殺し、徹底的に聴取に努めるべき音楽が存在していることは否定しないし、そういう音楽なら家でオーディオの前に座って聴くべきという意見が的外れなことくらいはわかる)

ただまぁ私はやり取りが感じられる音楽というか場が好きで、配信という便利なライブ鑑賞の方法を実際に経験したことで、むしろその気持ちが強まったという話。
少なくとも観客を入れられない、あるいは制限する形であれ、ステージに立つという選択をしている人たちに対して我々ができる敬意ある聴取の態度としては、彼らの目の前で音楽を聴くことだろう。
できる範囲で~構わないから~(さだまさし風に)


Author ジンボ アラタ 111 Articles
東京都出身。日本工学院八王子専門学校コンピューターミュージック科卒業。その後は音楽とは別の道へ進むが、再び音楽の世界になんらかの形で関わって行こうと決意し、2007年より音楽イベントのオーガナイズを始める。