メガハイパー510ファミリー ワンマンライブ

@Zher the ZOO YOYOGI 2017/05/10

5月10日はゴトウの日。
古巣、Zher the ZOO YOYOGIで開催される、メガハイパー510ファミリーのワンマンライブに行ってきた。

はじめに

メガハイパー510ファミリーとは、Zher the ZOO YOYOGIの副店長である後藤氏が、とあるイベントの為に組んだバンドである。その結成のいきさつから、どういう経緯で今回のワンマンへと話が進んだのかなど、Zher the ZOO YOYOGIのサイト上にある「PICK UP ARTIST」でのインタビュー上で細かく語られているので、そちらをご覧いただきたい。
http://www.ukproject.com/zherthezoo/

このワンマンライブは変わった趣向で成り立っている。
オープニングアクトが6組存在するのだ。(何故そんなことになっているのか?その辺の考え方も上記のインタビュー上で語られているので、「はぁ?」と思った方はぜひともお読みください)とりあえずキーワードは「友達」。

ライブ当日

仕事を終えて駆けつけたのだが、1、2組目はすでに終了しており、オープニングアクト3組目のJ.P.NAYUTAがセッティング中だった。その様子を眺めつつ、まずはこの日出されていたフードの「ガースーカレー」をいただく。これはそれでも世界が続くならのメンバーの菅澤さんが出していた本格的なアジアンカレー。お米も長粒種のものを使っていて見た目からして本格的だ。

多分長粒種のお米を口にするのは初めてに近かったと思うのだが、非常にさらさらしていて、日本の米のようにモチモチ感はないのだが、カレーと一緒にいただくと大変に美味しい。カレー自体もマイルドで美味かった。今日の夕食はこれと決めていたので、期待以上の味で満足した。
そうこうしている内にJ.P.NAYUTA開始。

J.P.NAYUTA

このバンドは後藤氏がZher the ZOOでブッキングをするようになった当初から出演してもらっていた、今日の出演者の中でも特に後藤氏と縁の深いバンド。

これまで何度かのメンバーチェンジなども経て、良い時も悪い時も見てきたつもりだけれども、今日久しぶりにライブを観て「変わったなぁ」というのが第一印象。悪い意味ではない。自分の記憶の中で止まっていたJ.P.NAYUTA像と現在進行形の彼らの間にギャップが存在するのはむしろ当然だし、知らない内に彼らは彼らでちゃんと先に進んでいたんだということを確認した。

ボーカル&ギターの宮坂さんは二枚目、細身で長身、ハスキーボイスという、ロックンローラーになる為に生まれてきたような人だけれども、以前から持っていたカッコ良さに加えて、いつの間にやら色気も漂わせるようになっていた。変わったなと思ったのはまさにそこで、こんなに色っぽいバンドだったっけと思うくらい、今日のJ.P.NAYUTAのライブはセクシーだった。

J.P.NAYUTA – Facebook

Rahulas

次のオープニングアクトはRahulas。個人的にはかつてここで仕事をしていて、その仕事を通じて最も仲良くなったバンドの1つかもしれない。ボーカル&ギターのナクイくんはRahulasの前にやっていたバンドの頃から出演してくれていて、しばしソロの期間を経て、これまた後藤氏とも店とも付き合いの長いバンド。

Rahulasのライブでもやっぱり変化を感じた。なんだかんだで今日の出演者の中でここ1年以内にライブを観てるのってメガハイパー510ファミリーだけだから(Rahulasを観たのはちょうど1年前くらい)、それだけ期間が空けば変化を感じて当然だろうけど。

今日のRahulasには非常に攻め気を感じた。途中で挟んだニルヴァーナに始まる洋楽リフメドレー面白かった。ナクイくんは本当に幅広い音楽を吸収してきている人間なので、ああいう遊び心をまた違った形で発揮してくれたらいいなと個人的には思う。

ギターのニシムラくんはメガハイパー510ファミリーのメンバーでもあり、事前に「自分と対バンするのは大変だけど、どっちのバンドでも手は抜けない」と語っていたけど、本当に全開の弾きっぷり。

冷静に鑑みると、60年代や70年代のロックにも造詣の深い、ある意味オールドスクールなナクイ趣味を、ニシムラくんの存在が上手い具合に現代の音に昇華させている部分はあるかもしれない。言うほどRahulasのライブをたくさん観ているわけではないので想像の範疇だけども。

Rahulas [ラフーラス] Web Site

モケーレムベンベ

オープニングアクト5組目は大阪から来たモケーレムベンベ。このバンドとの繋がりに関しては後藤氏本人が語っている文章を読んでいただいた方が良い。
http://megahyper510family.tumblr.com/special

このバンドもZher the ZOOで働いていた時に何度か出会っているはずなのだが、正直ライブを観たかどうかは記憶が定かではない。私は割と早い時期に深夜勤務が中心になってしまったので。だから今日は初めてのつもりでライブを観たんだけど、普通に良いバンド。

この普通にってのがなかなか難しいところで、基本的にバンド(に限らず)って一癖あるタイプの方が人の印象には残りやすい。でもモケーレムベンベでクセが強い部分て言ったらベースのルックスくらいで(笑)、それ以外は普通と言ってしまうと語弊があるが決して奇をてらった感じの要素は感じられないバンド。そういうスタイルで良いなと人に思わせるのは、本当に良いバンドじゃないとできない。良いバンドだった。

Mokelembembe | 大阪のインディーズバンド モケーレムベンベ

Roll&McCARTNEY

最後のオープニングアクトは、活動休止が決まっており、この日が最後の東京公演になるTHE Roll&McCARTNEY。

これまでの全ての出演者に共通して言えることだが、全力でやっているのが観ている側にありありと伝わってくる。それでいて次に繋ごうという意思を感じる。

バンドマンじゃない自分には想像するしかない感覚だが、多分みんな自分がやっているバンドを最高だと思って、少なくとも最高にしたいと思ってやっているだろうし、ライブはその想いを発露する場のはずだ。実際ここまで観てきて、みんな自分たちがどれだけ最高なのかを見せつけるようなライブをしていた。それでいて後に控えるメガハイパー510ファミリーに期待を持たせる空気をちゃんと作っていた。

オープニングアクトの本来の役割とは、メインアクトのライブの最初の1音が鳴った瞬間からオーディエンスのテンションが最高潮になるように、あらかじめオーディエンスの心身をライブモードに切り替えさせることだと思う。ここまでの5組がバトンを繋ぐようにその役割を共有してきていた(1~2組目は観てないけどさ)。

THE Roll&McCARTNEYのライブはそういう意味で今日のオープニングアクトの総括だった。東京でライブをする最後の日。自分たちのワンマンライブばりにテンション上げてたけど、終わったら熱だけ残して後を濁さず立ち去る。粋な奴らだ。

THE Roll&McCARTNEY

メガハイパー510ファミリー

長い長い前フリ(笑)が終わり、ようやくメガハイパー510ファミリーが登場する時間。当初の予定ではすでに帰路に着いているはずの時間だったが、ここまで来て観ないわけにはいかない。

メンバーの内、Kent Kakitsubataのケントくん、Rahulasのニシムラくん、THE Roll&McCARTNEYの大信田くんは2ステージ目だが疲れは見られない。本人たちもワクワクしている様子。

1曲目。どうも後藤氏は寝っ転がったまま歌っているようで、最前列の客にさえぎられて姿が見えない。「やべーとうわーが迫ってくるヤァヤァヤァ」という曲のようだ。寝ながら何か変なことを延々喋ってるもんだから、初見のお客さんは若干引き気味だったと思うが、この曲は後藤駿という人間のパーソナリティを垣間見られる内容になっていると思う。ライブで引いても、家で歌詞を見ながらCDで聴いたらまた印象が違うことだろう。

この1曲目という入り口の部分でまずお客さんの層が二分された気がする。後藤氏の人となりを知っている人とそうでない人だ。前者には「さすが後藤」「あいつはやっぱり只者じゃない」という印象を与えたと思うが、後者には少々ハードルの高いツカミだったかもしれない。

続く2曲目の「Sad Elephant」。初ライブの時にビビビと来た曲だ。童話の「かわいそうなぞう」を下敷きにしたラウドでめちゃカッコいい曲。ギター3本から繰り出されるもはやノイズに等しい轟音と後藤氏の叫び。静かに語りを入れている部分との激しい対比が個人的に超好み。ただこの曲でも引いてそうな人はいたけど(笑)

MCを挟み、急に落ち着いた調子になる後藤氏。その落差も含め、こちらとしては彼の人となりが本当に良く出ているライブと感じていた。

メガハイパー510ファミリー

後藤氏について

後藤という人間は頭にバカが付く真面目だ。初めて観た人はここまでで彼をアブナイ人のように感じたかもしれないが、それは彼が何事にも本気だからだ。ふざける時は本気でふざけるし、遊ぶ時は本気で遊ぶ。そして真面目に話したいことがあれば、極めて真面目に話をする。

もし彼がサラリーマンで、飲みの席で同僚と真面目に話している最中に上司に「後藤、ちょっと一発芸でもしろよ」などと言われたら、心の中で面倒臭いなと思っていても、全然そんな気分じゃなくても、本気の一発芸を見せるだろう。あるいは本気でキレるか。

だから今日ステージ下から彼の姿を見ていて、ずっと「ああ、後藤だー」と思っていた。寝っ転がっていても、絶叫していても、わけのわからないことを連呼していても、真面目に話していても、ずっとぶれない後藤駿だった。後半では楽しい雰囲気の曲が増え、特にメンバーたちが楽しそうな表情をのぞかせる瞬間が増えたけれど、後藤氏は最後までずっと真面目だったな。

アンコールを含めて持ち曲全てを披露し、文字通りやり切った感のあるライブだったけど、観ているこちら側も完全燃焼した感。これ以上もこれ以下もない内容。

正直なところ「ワンマンライブの常識を覆す」と謳った今回の試みに対しては割とクールな視線を送っていた。自分も元ライブハウスの人間だし、謳い文句を100%そのまま受け取らないひねた気持ちで足を運んでいた部分はあったのだが、終わってみれば間違いなくワンマンライブを観たという気持ちにさせられていた。きっと今日の出演者が後藤氏とその友達で構成されていたからだと思う。

「バンドって友達とやるものだと思っていて」

この後藤氏の言葉に今日のライブの全てが集約されていたと思う。


ジンボ アラタ
Author ジンボ アラタ 90 Articles
東京都出身。日本工学院八王子専門学校コンピューターミュージック科卒業。その後は音楽とは別の道へ進むが、再び音楽の世界になんらかの形で関わって行こうと決意し、2007年より音楽イベントのオーガナイズを始める。