『01>01』- d.v.d

ポップでハイセンスな音楽と映像の化合物

Itoken+Jimanicaのドラムデュオに、映像作家の山口崇司が加わった、サウンド&ヴィジュアルグループ「d.v.d」のCD+DVDの2枚組パッケージ。
何はさておき、d.v.dだけにDVDの方を先に視聴していただきたい(笑)

d.v.d(ドラム・ヴィジュアル・ドラム)というユニットは、ドラムが映像を操作するというアイデアにまず目を惹かれるが、単純にアイデアを面白がらせるだけに留まらず、お洒落なポップアートとしての完成度を保っている点が秀逸だ。
その点において考えると、このユニットのキーパースンは実際の演奏者であるItokenとJimanicaよりも山口崇司であるといえるだろう。

曲ごとに違ったプログラミングの映像が用意され、それぞれが色を形を自在に変化させながら画面上を跳ね回る。しかもその動きはライブごとに変化するし、操作された映像が新たに音を奏でもする。
つまり山口の存在は単なる映像作家・プログラマーという枠に留まらず、彼の分身たる映像たちが、第四のメンバーとして我々の視覚にそのパフォーマンスを焼き付ける。
このようにパッケージされた作品に留まらず、ライブにも欠かせないアクターでもあるわけだ。

実際の内容についても少し言及しておこう。
収録されているのはCD、DVDとも全10曲。
チップチューン(ピコピコ音を用いてファミコンのようなレトロゲーム調の雰囲気を出した音楽)を想起させるチープな電子音を用いた楽曲は、それ単体だけ聴くとアンビエントテクノとも取れそうな荒涼とした無機質さ感じるが、映像との噛み合わせは抜群にいい。
やはりその音楽性も含めて、まずは映像ありきでやっていることが窺える。

特にそれを感じさせるのが、ピンボールゲームを模した「flip no.9」や、テニスゲームを模した「ups and downs no.11」などだろう。ここでのItokenとJimanicaのドラムプレイは専ら「操作」に専念していて、音楽的な整合性の追究は初めから放棄されている。

逆に音楽と映像が高度に融合したアーティスティックな作品として「seek the planet no.8」や「quiz no.3」などが挙げられる。どちらもPV作品が収録されているので、ライブでは味わえない高画質な映像で楽しめる。

d.v.d以前にも音楽と映像のコラボレーションを試みているユニットは存在したが、それらの多くは音楽と映像が並列に存在しているだけで溶け合っていなかった。その2つの要素をこれだけ高次元に融合させ、なおかつ遊べているユニットはちょっと他に思いつかない。

もはや彼らは「音楽+映像ユニット」ではなく「d.v.d」というジャンルなのだと言って良いだろう。

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d.v.d OFFICIAL WEB SITE


ジンボ アラタ
Author ジンボ アラタ 90 Articles
東京都出身。日本工学院八王子専門学校コンピューターミュージック科卒業。その後は音楽とは別の道へ進むが、再び音楽の世界になんらかの形で関わって行こうと決意し、2007年より音楽イベントのオーガナイズを始める。