「歌」への想い

主催イベント『唱撃 其の参~今夜はいい歌ばっかり聴きたいの~』が間近に迫っているが、それに伴って事前に少しこのイベントにまつわる話などを書いておこうと思う。実は私自身はここ1~2年くらいの間に、歌入りの音楽を聴く頻度が非常に減った。広い意味での電子音楽や、ノイズ、現代音楽(もちろんこれらにも歌の入ったものは少なからず存在するが)などに傾倒するようになってきたからだ。何故かといえば感覚的な要素が大きいので言葉で説明するのは難しいが、音楽における「歌」の存在が耳障りに感じることがあるのである。もっと言ってしまえば「歌」でなく、「メロディ」や「ハーモニー」といったものが邪魔に思えてくることがあるのである。

脳がそういう状態になって来ると一般に「名曲」と呼ばれるような曲ほど聴きたくなくなってくる始末で、そんな時にメロディもハーモニーもないような無機質なテクノや、聴くというより浸るような感覚で触れられるアンビエントやノイズなどを聴いたら、妙に心地良かったのである。

ただこれは私の好みが変遷してしまったという話ではない。例えて言うならば、それまで脂っこい食べ物が大好きだった人間が、加齢に伴ってかつてのようには食べられなくなった。逆にそれまで好きでもなかった薄味の料理の美味しさに目覚めた、という話に近いと思う。

聴く機会が減ったと言っても私は今でも歌やメロディのある音楽が好きだし、新しいものには出会いたいとは常に思っている。

『唱撃』(しょうげき)というイベントについて

このイベントの第1回は2009年の3月。はぐレ企画のイベントとしては4番目の企画にあたる。
それ以前の3回は
『一花繚乱』(ギターインストとベース弾き語りのツーマン)
『サブカルヒステリーアワー』(プログレ系やアヴャンギャルドジャズなどを中心としたイベント)が2回
と、歌よりも演奏重視、雰囲気重視の企画性だったことがわかる。

そういう流れになってしまったのは、単純に自分がそういうものが好きだったからというのもあるが、もしも歌モノのイベントをやるなら相当なものをぶち込んでやらなきゃ気が済まないという意識があったからでもある。

私はライブハウスに行って音楽を体感するのが好きで、それが昂じて自分でイベントを組むようになったクチの人間だ。当然色々なライブハウスに行って、様々なイベントを観てきた。そんな中で『サブカルヒステリーアワー』のようなイベントは比較的個性の出しやすい性質があることがわかっていた。しかし歌を重視したイベントの制作は少々敷居が高いように自分には感じられたのである。

考えた結果、1つのルールを決めた。

自分がそれを好きか嫌いか、もっと乱暴に言えば良いか悪いかすらも二の次。とにかく自分が「衝撃」を受けたもの、そういう歌い手ばかりを集めてイベントを組もう。
そして『唱撃』というイベントが生まれた。
手前味噌だが、すごいものが出来たなという実感が伴った企画だった。

唱撃 第三弾

その後勢いに乗って同じ年に企画した第二弾から数えること約7年。ようやくここに『唱撃』の第三弾をお送りする。

ここまで間隔が開いてしまったことには様々な事情があるし、第三者には大して意味のあることではない話も多いので割愛するが、むしろ間隔が開いても第三弾が作れたということが自分には嬉しい。

そもそもイベントのタイトルなどは企画者が自由に決められるのだから、付けたもん勝ちなのであるが、それでも自分はこの7年間『唱撃』のタイトルを冠したイベントを組まなかった。

今回は自分の決めたルールに従って『唱撃』のタイトルを使った。みんな私が衝撃を受けたボーカリストばかりである。それぞれの出演者のファンの方にはもちろん来ていただきたいし、私のことを知っている人には「あいつがなんで衝撃を受けたのか」と、それを確かめに来ていただきたい。損はさせないつもりだ。

「唱撃 其の参 ~今夜は、いい歌ばっかり聴きたいの~」

日程:2016年9月2日(金)
会場:高円寺 U-hA
時間:開場18:30 開演19:00
料金:前売2,300円 当日2,500円
出演:しーなとシュウ / 海月ひかり / 宮国英仁


ジンボ アラタ
Author ジンボ アラタ 95 Articles
東京都出身。日本工学院八王子専門学校コンピューターミュージック科卒業。その後は音楽とは別の道へ進むが、再び音楽の世界になんらかの形で関わって行こうと決意し、2007年より音楽イベントのオーガナイズを始める。