音楽を無料で楽しむというのはすっかり常識になった。
だが我々リスナーが忘れてはならないのが、無料で聴けるからと言っても全ての音楽作品には製作費用がかかっているということである。
当然なんらかの形でのフィードバックがなければ音楽家は作品を作り続けることはできない。
その方法については音楽家とリスナー、あるいはかつての仲介者(レーベル、プロダクション)がそれぞれ考えていくことが必要だろう。
それはさておき、必要は発明の母、というのとは違うかもしれないが、かつてならばそれなりに時間と労力をかけなければ出来なかった類の作品が、ツールの進歩によって驚くほど簡単に(簡単と言い切ってしまうとまた語弊があるが)作れるようになったのは面白いことだ。
そんなわけで今日紹介するのはこちら。
ループマシンを駆使してソロでアンサンブルを作り上げていく実演方法というのは今では随分増えたとはいえ、このライブは楽曲自体の質も良いし、ライブならではの高揚感も味わえて非常に素晴らしい内容だ。
強いてジャンル分けするのならばエレクトロニカに近い感覚を味わえる楽曲なのだが、個々の音を拾っていくとあくまでも生楽器の演奏で構成されており、その生演奏を用いた手法で電子音楽的な響きを得られるところに、現代音楽家のスティーブ・ライヒを想起させるものがある。
宮内優里 | Miyauchi Yuri (@miyauchiyuri) | Twitter