ギンギラギンにケバケバしく ~Zher the ZOO 6周年前夜祭だよ全員集合(?)~

@Zher the ZOO YOYOGI 2011/03/02

はじめに

最近ライブレポを書いていなかったので、久しぶりに1本投稿しようと思う。
といっても自分でブッキングしたライブゆえ、手前味噌になることは必定。ついでに内情も話せるレベルで話すことで、多少なりともイヤーな気持ちになれる特典をつけておくので、重ねてご容赦いただきたい(笑)

タイトル通り、この日はZher the ZOOの6周年前夜祭。
まずいきなり内情バラしから入るが、やはり「周年月間」というのは、ライブハウスが特にブッキングに力を入れる時期。
たとえ普段のブッキングがあまり奮わない店でも、この時期はこけら落としや、オープン初期に出演してくれていた「名のあるアーティスト」に出演依頼を出しやすいし、基本そうする。わかりやすく言えば稼ぎ時なのだ。

でも俺は入って1年経たないペーペーであり、そういう縁もゆかりもある方々はほとんど知らないし、仮に名前くらい知ってても面識はない。つまり手札がない。
なので周年月間のブッキングに関しては基本ノータッチで行こう、でもみんなそっちで手一杯だから、他の部分はできるだけ受け持てるようにしよう…なんて経緯があって前夜祭を受け持たせていただいたわけ。

前夜祭ね、つまりお祭ね、わーっと盛り上げるわけね、じゃあこれで決まりでしょ。
…というくらい、ほとんど悩むことなくこのラインナップを描く。タイトルこそ「ケバケバしく」なんて謳ってて、確かに見る人によっては非常にコアで、下手したらアングラなんて言われかねないかもしれないが、俺の中では完全に正着なブッキングだった。

最鋭輝

オープニングアクトは、今世紀最後のムーディスト、一人グループサウンズで御馴染み最鋭輝さま。この人はコール&レスポンスが上手い人。それが下手な人も多いんだけど、この人のノリに付いていくのって、不思議と全然苦痛じゃないだよね。なんなんだろうね。母性本能をくすぐるタイプなのかしらん?

だって冷静に見たら、いい歳したおっさんが時代遅れの音楽をやってるわけよ(笑) それなのに、もし俺が女だったらきっと「きゃー♪モッキー♥」なんて叫んでるだろう。いや、実際に心の中では叫んでるよ(笑)

もちろんそれはその場限りの話で、本気で恋しちゃったりとかはないんだけど、それでいいの。それがいいの。ショーっていうのは束の間の虚構の世界へ誘うことだから。
ホントこの人はムーディストって呼び方がぴったり合う。ナイスオープニングアクト。ナイス温めでござんした。

最鋭輝 OFFICAL WEB SITE

で、最鋭輝さんにはステージ終了後もそのまま司会をやっていただいて、カタンさんの解説つきで次のURiTAさんの紹介などしていただく。
ライブ慣れしている人や友達と連れ立って来ている人はいいけども、そうじゃない人にとって転換の時間の所在無さっていうのは結構アレなもんで、こういう場を繋ぐものがあるってのはいいと思うんだ。別にそれを狙ったわけじゃなかったんだけど、そもそも今日のお客さんは皆さん慣れてらっしゃる感じだったけど。

URiTA

そんなわけでURiTAさん登場。
Zher the ZOOでやる時はソロが多いみたいなんだけど、今日は久しぶりにカタンさんと一緒にやるからなのか?張り切ってバンド編成で登場。
改めて観てみると、えらい曲がポップなのね。メジャー行った経験もあるって話だし、そこはなるほどと思った。もっさい風貌(笑)の割に声もまたキレイだしさ。「笑いながら泣ける」っていうカタンさんの評は的を得ていると思う。

ちなみにこの人は、完璧に母性本能をくすぐるタイプだと思う。最鋭輝さんもチャーミングな人だと言ってたし、うちの店員評も満場一致で「カワイイ」ですから。途中のMCとか何言ってんだかほとんどわかんないんだけど、何故か心がほんわかしてしまったのは俺だけじゃあるまい。
カワイさは武器!でもそれを自覚していないところがあるように見えるのが、またこの人の魅力なのかもしれないなぁ。

URITA’S SITE

天国

3番手、天国。
個人でイベントを組んでいた頃から一貫していることがあるんだけど、俺がいつも楽しみにしているのは、天国を知らない人たちに彼らを観てもらうことだ。今日みたいな日は特にね。
これはきっとカタンさんを招聘するイベンターさんなんかも思っていることだろう。そういう人たちに天国の存在を知ってもらえたらいいなって思うんだけどね。

正直、天国慣れしている人間として言えば、今日のステージは100%、120%のものではなかったと思う。宮国さんは花粉の影響で声がMAXに出ない状態だったし、本間くんも次にもう1ステージあるってことで温存していたのか、いつものどっかんどっかん来るダイナミズムが感じられず。

とはいえ、それでもちゃんと面白かったからエライ。
やっぱり「さっちゃん」が最高すぎる。もう今の天国には完全に欠かせない曲になってきているね。あの清々しいまでの躁鬱感は「宮国劇場」の粋だと思うし、それと完璧にシンクロして舞台を作る「本間演出」の粋だと思う。
時間の都合により、新曲がカットされたということで、気になる方はまた次回。

(仮)天国の情報 天国ライブ日程

日比谷カタン

そして日比谷カタン、まさかのバンドセットで登場。
天国からそのまま引継ぎで本間んくんがピアノ、そして天国のサポートで御馴染み渡部正人くんがドラムで加わり、3ピース編成。

何が飛び出すかわからない、曲と曲を自在にカットアップして、カヴァーも好き勝手に織り交ぜてっていうライブ展開が日比谷スタイルである以上、バンドってのは制約が多くてカタンさんには向かないんでないの?って心配は当然あったのだが、そこはスキルフルな面子ゆえ、日比谷楽曲をどう調理するのかって期待する部分もあって、とりあえず第1回の今日は観れて良かったかな。

バンドなら当然これはガチだろと思っていた「亡魂咆哮」が演奏されて、そこは素直に嬉しかった。ただ本間くんがピアノ弾きながら歌うってのができない人だから、途中の「ソイヤ」がほとんど聞こえなくて、しかもちょっとズレたりしてて、やっぱりそこは宮国さんをコーラスに入れても良かったんじゃないかなーと思う。あの人は始まっちゃうとコーラスだけに留まらない危険性は当然あるんだけどさ(苦笑)

身内寄りな意見ではあるが、通しでリハしたことない状態で、見事3曲を形にしてみせた彼らのスキルってのはやはり凄いなと感心した。年に1~2回ペースで今後もバンドでのライブがあってもいいと思うな。

日比谷カタン Official Website

▲s(ピラミッドス)

そしてとうとう最後。お祭と言ったらやっぱりこの人たち、流浪のジプシーバンド▲s(ピラミッドス)。
超手作り感満載のピラミッド帽を被って登場。直前にダンボールくださいって言ってきたから何かと思ったら、これを作っていたのか(笑)

今日はオノさん不在の5人編成だったけども、全然不足感なし。ツッチーさんはカタンさんにインコーの事実をバラされた反動か、なんか絶叫してたし、コント仕立てのCM、グダグダな寸劇もいつも通りなんだけど、どうしても笑ってしまう。
寸劇後はチャラン・ポ・ランタンからももちゃんをゲストに迎えて「Chaje Shukarije」を演奏。やっぱこの子のボーカルはすげぇわ。そしておっぱい観音サフィちゃんの登場に男女共々会場は狂喜乱舞し、後はもうなんだか…どうでもええわ(笑)

PYRAMIDOS(▲sピラミッドス) -日本発のジプシーバンド

色々思ったこと

とりあえずイベント通して感じたことは、土台がしっかりしていてこそ遊びの部分が映えるってこと。
歌えないし楽器も弾けない俺が言っても説得力はないが、スキルってのはあって当たり前のもの。下手でもいいってのは初期衝動の話。あるいは才能のある人の話(俺は下手でも様になる人こそが真の才人だと思ってる)であって、そういう人たちの存在を免罪符にして、己を向上させる意志のない表現者はダメだと思っている。

ちゃんと「できる」人たちが「壊す」様っていうのは実に甘美で、その味に1度目覚めてしまうと、アルコールのようになかなか抜け出せなくなる。
まぁ、抜け出す気はないからいいんだけどね。

現実の壁

以後再び内情バラし。
あの場に居た人が注意深く観察していればわかることなので言ってしまうが、この日の観客動員はゲストを含めて40人弱であった。これが週末のイベントだったとしても、恐らく50人ちょいだろう。ゲスト含めてね。
幸いにも途中で帰る人は少数で、出演者も基本的に対バンを見ていてくれたから、ホールは寂しい様子は全然なくて、実際盛り上がってたから良かったんだけど、数字にしてしまえばそんなもの。

これが余所からの持ち込み企画だったら何の問題もなかったよ。ホールレンタル料もらって、お客さんも盛り上がって、あー良かった良かったで終わりですわ。
ただライブハウスの人間として、数字と格闘する定めにある以上、ちょっとこの数字には愕然とした。もう「やる意味あんのか?」くらいに思った。正直。

もちろんライブの動員てのは前回の記事にも書いたけど水モノだから、一概に数字だけ見て、一喜一憂はできないんだけど…。
ちなみにあの日、Zher the ZOOのスタッフはライブ後のバータイムを含めて8人いた。その人たちの日当、光熱費、消耗品、家賃の日割り分などを売り上げからさっ引いて、いくら残ると思う?
昨今、ライブハウスのノルマ云々に関する議論はあちこちで交わされているようだけども、この現実の壁はあまりにも高いよ。

良いイベントばかりやりたいし、そう息巻いてこの業界に入ってきた部分はあったけど、現在かなり弱気になっております。励ましのコメントなどいただけると、とても喜びます。

アンビバレンス

それとはまた別な話で、冒頭でも書いたけど、恐らく観る人によってはこのイベントってすごくコアだと感じると思う。それがまた辛い。
だったらコアじゃない人たちと、今日の出演者たちを組み合わせてみればいいじゃんという発想も出てくるわけだが、それはそれでリスキーだ。「コアじゃない」お客さんたちが着いてこられない可能性が高いから。実際それを見てきているから。

幸いこの日のお客さんは、広い受け皿と、お目当て以外の演者からも何かを得てやろうっていう貪欲さを持った人たちが多かったから、結果として人数の多い少ない関係なく盛り上がったけど、下手したらあの場に100人居ても盛り上がらない可能性だってあるんだよ。俺からしたら信じられないけど。

もちろん俺は盛り上がるように組んだつもりだったけど、結局それをやっている限りは「わかる人だけわかってくれればいい」っていうセクト化の方向に進むだけ。イベント打つ以上は、良いと思うものをもっと広く知らしめたいって意識があるのに、実は秘密クラブみたいになってる。
このアンビバレンスをどうしたらいいんだろう?

そんなわけでやっぱり弱気になっているので、励ましのコメントなどいただけると、大変に喜びます。

とりあえず明日からしばらく普通の日々。
Zher the ZOOは6周年月間に入りますので、応援よろしくお願いいたします。


ジンボ アラタ
Author ジンボ アラタ 95 Articles
東京都出身。日本工学院八王子専門学校コンピューターミュージック科卒業。その後は音楽とは別の道へ進むが、再び音楽の世界になんらかの形で関わって行こうと決意し、2007年より音楽イベントのオーガナイズを始める。