ブランニュー・ユニット・イン・メトロポリスと闇

@下北沢MOSAiC 2011/10/02

はじめに

10月2日、メリディアンローグのワンマンライブを観に、下北沢MOSAiCにお邪魔してきた。

現在はフリクルという新しい音楽ビジネスモデルを立ち上げ、本気で音楽業界の構造改革に向けて活動している彼らのワンマンライブということで、通常のライブレポとは違う視点で綴っていこうと思う。

客数と売上

MOSAiCに着いたのは開演予定時刻ちょい前くらい。1Fカフェにはすでにたくさんのお客さんの姿があり、B1Fに降りてみると案の定その数倍のお客さんがホールにひしめいている。
目算で100~120人といったところか。MOSAiCのキャパは200人とのことだが、あと80~100人も入れるような感じではとてもない。かといって身動き一つできない、息をするのも辛い、というほどギュウギュウなわけでもなく、程よい一杯感。

ただ正直なところ、もっと人がいるだろうと予測していた。ソールドアウトもあり得るくらいの気持ちでいた。
去年までメジャーで活動していた実績もあるし、「これからのミュージシャンは音源ではなくライブを商品するのだ」という主張を掲げてフリクルを運営しているバンドのライブである。当然ながら下手を打つわけには絶対にいかないところ。いや、対バンイベントではなくワンマンということを考えれば、下手を打たないというレベルではなく、大事な稼ぎどころと考えるべきだろう。

それでこの人数は果たして多いのか少ないのか。判断基準は立場により違ってくるだろうしなんとも言えないが、多すぎはしないというのが個人的感想。

とはいえチケットの値段は前売が3,000円、当日3,500円。ゲストや関係者などを除いた実動員が100人だったと仮定して、うち9割が前売でチケットを買ったとすると・・・
(3,000円×90人)+(3,500円×10人)=305,000円が主な売り上げとなる。

MOSAiCのホールレンタル料金がわからないのでなんとも言えないが、同じ下北沢のライブハウスでキャパシティ的にも近いCAVE BEがWEB上でホールレンタル料金を提示しているので、そちらを参考にして考えてみることにする。

この日は日曜日だったのでレンタル料金が200,000円として、それ以降が演者の取り分とすると105,000円のアガリとなる。
ライブ1回で100,000円を超えるアガリが出るならばインディーズのミュージシャンとしてはまずまずといったところだが、チケット3,000円の設定で100人以上お客さんを呼んで、手にできるのが売り上げの3分の1程度(実際にはゲストを含む動員数×ドリンク代の売り上げが加算されるため、店の取り分は上記の計算よりも多いはず)というのは少々合点がいかないかもしれない。

いずれにせよ、ここで出した数字は全て仮定のものなので、それが多いか少ないかについて第三者があーだこーだ言っても仕方がない。
重要なのは同じ金額を稼ぎ出すのに、メジャーレーベルに所属してCDを売るのと、インディーの立場でライブをするのでは、回収率が天と地ほども違うということ。

海保けんたろー氏へのインタビュー記事でも試算してみせたが、メジャーの若手バンドがCD1枚の売り上げに対してもらえるのはせいぜい4%~7%程度である。それで100,000円を稼ぎ出すには1000枚近い売り上げが必要だが、インディーの立場で打つライブならば100人の動員で達成できる。この差は大きい。

実際の数字は多少誤差があるだろうが、この日メリディアンローグは、メジャー時代にCDを1000枚前後売ってやっと得た収入を1日で稼いだことになる。
現在フリクルのメルマガ読者数1位のバンドとして、ひとまずモデルケースたる実績を作れたのではないだろうか。

ライブの感想

生々しい話はこれくらいにして、実際のライブの内容についても言及していこう。
まずオープニング。メンバーが登場する前に楽屋に音声を繋ぐ、というところから始まる。コント仕立ての小ネタで場の空気を軽く和ませてからメンバー入場。

自分はメリディアンローグのライブは初めてで、曲に関してもフリクルで配信されているものしか聴いたことがないので、あまり細かいことは言えないのだが、やはりメジャー向きのバンドだという印象を持った。
色々と変なコード進行や転調の仕方などあるのだけど、全体的に仕上がりはポップ、それも非常にJ-POP的なポップだ。演奏もみんな上手い。こういうバンドほど上手い下手の差が如実に出るもんで(これはライブハウスの人間としての意見)、その点は大いに評価したい。

途中、ターンテーブルを駆使した曲、普段やらないインスト曲、アコースティックセットのコーナーなどあり、ワンマンならではと言える変化に富んだセットリストだった。

SONALIO(ソナリオ)公式サイト (※2013年に改名)

ライブとはまた別に、照明が非常に素晴らしかった。前に知人からMOSAiCは照明がいいと聞いていたけど、本当だな。何よりも曲にぴったり合わせてくる演出が見事。
メリディアンローグは現在やれることは全部自分たちでやっているはずだが、この日は専属のオペさんでも付いてたのかしらん?
最近よそのライブハウスに行くと、ついつい照明をチェックしてしまうのである。外から最もチェックしやすい部分の1つだし。今日の印象は正直「負けた」である。悔しい。自分は照明オペではないが悔しい。うちも負けてらんないですよ照明さん!

…そんなこんなで過ごした2時間ほどのワンマンライブ。自分は色々と考えながら観させていただいたが、きっと本人たちにはあっという間だっただろう。いい表情でやっていたもの。

ぶっちゃけて言えば大好きなタイプの音楽ではないのだけど、とても良いライブを観られたと思っている。欲を言えばホールにバーカウンターのあるライブハウスが良かった。飲みながら観たかったな。個人的にはそこが一番残念な部分だったかも(笑)


ジンボ アラタ
Author ジンボ アラタ 95 Articles
東京都出身。日本工学院八王子専門学校コンピューターミュージック科卒業。その後は音楽とは別の道へ進むが、再び音楽の世界になんらかの形で関わって行こうと決意し、2007年より音楽イベントのオーガナイズを始める。