闇七夕~あなたの願いを叶えません~

@代々木Barbara 2014/07/07

はじめに

7月7日、七夕。
本当に久しぶりに、時間と懐具合と観たいイベントの都合が全部合ったので、代々木Barbaraに遊びに行ってきた。

表に出た看板に書かれたタイトルは『闇七夕~あなたの願いを叶えません~』。
その下に書かれた演者は、amamori・てあしくちびる・石川浩司・天国・トランスパランス。
なるほどなタイトル。ざっと演者を見渡す限り、まともに終わりそうな予感が一つもしない(トランスパランスは知らなかったけど)。

スタートにちょっと遅れたので、すでに1番手のamamoriのライブの途中だった。彼女のライブを初めて観たのもここBarbara。その時も確か天国との対バンだった。

amamori

amamoriの歌声はキュートだが、所謂弾き語り女子クラスタからはハミ出した感のある縦横無尽なピアノがとても印象的だ。クラシックを学んだ人なのかと思ったら、彼女も国立音大出身だと後で判明する。

扱うテーマは女性的なんだけど、時々歌もピアノもあさっての方向に飛んで行ったと思ったらまた帰ってくる、その微妙なバランス感覚がいい。今日の演者たちの中にあっても遜色のない存在感があるんだけど、ギリギリポップスの領域にいる人、かな?

 
amamori.com

てあしくちびる

2番手の『てあしくちびる』は天国の2人から度々「めちゃかっこいい」「観た方がいい」と言われていたので、今日はやっとその機会に恵まれて楽しみなことこの上なし。
事前にYou Tubeでは拝聴していたんだが、「変わってんなー」とか「面白そうなことやってんなー」とは思いつつも、いまいちピンと来ない部分が正直あったのだが、今日生でライブを観て印象ががらりと変わった。

とにかくフィジカルな部分での凄みに圧倒された。リズム感めちゃくちゃ良くて演奏がとにかくグルーヴィ。また2人のタイム感と言うのかな、呼吸の合いっぷりもすごい。やたら言葉数の多い歌詞をポリリズムっぽくそれぞれが歌っていても、演奏にはいささかのブレもなし。もちろんイヤモニでクリックなんて聴いてない。リズム楽器なしのアコースティックデュオでここまで気持ちのいいグルーヴを作り出せる人達には初めてお目にかかったかもしれない。

滑舌の良さ、演奏力の高さ、リズム感タイム感の確かさ、どれか1つでも欠けたら説得力を失ってしまうだろう音楽を2人だけで成立させている事実は驚嘆に値する。

あと、個人的には時折暗黒系な音色で場を塗りつぶしにかかるバイオリンが大好きだ。ギターとバイオリンと歌というチョイスも、てあしくちびるを成立させるのに欠かせないピースなのかもしれない。

今後も下手に音数を増やしたりせず、このままの形でもっと高みを目指して欲しいと思う人達だった。

 
てあしくちびる オフィシャルサイト

石川浩司

続いて大御所・石川浩司さん(元『たま』のランニング)。
昨夜は53歳バースデーライブで、『たま』のメンバーも参加しての大盛り上がりだったらしい。最近また定着してきたランニング姿で今日もステージに立つ。

1曲目の「ひとり闇鍋」から笑わせてもらった。この人の哀愁コミカルソングの味わいは何とも形容しがたい。この人じゃないと出せない味だ。例えばてあしくちびるみたいな超絶上手い人たちが同じことをやると、もちろん笑えるだろうけど同時にかっこよくなってしまう。それでは多分ダメなのだ。かっこよくない感じが面白いという感を出すには、きっともう音楽じゃなくて人間力みたいな話になってくるんだろう。やたらちんぽを連呼する「秋の風」などは特にそうだ。

観ている時は普通にあははと笑ってスルーしてたけど、演奏巧者・歌巧者ばかりの間に挟まれてもこの人が浮かないという事実は小さからざることだ。

 
石川浩司のひとりでアッハッハー

天国

4番手、天国。約半年ぶりだろうか。これくらい天国のライブに行かなかったのは初めてかもしれない。
最近は衣装にスーツという姿が定着しつつあるそうだが、この姿を見るのも今日が初めてだ。

オープニングで耳慣れない曲が流れ出し、まさか新曲かと思ったら実は「うれしいひなまつり」だった。なるほどね。そこから「斉藤」へ。宮国さん頑張ってたんだけど、やっぱてあしくちびる観た後だと滑舌の悪さが隠し切れないな。これが本当に一字一句違えずはっきりと歌えたらすごいかっこいいと思うんだが。

続く「さっちゃん」では、後半に「異食症」ショートバージョンを織り込むというアレンジに。ネタバレしている人にもどこかで予想を裏切る構成を毎回考えてくるのは本当に感心するし、何度も観ている身としては素直に楽しい。

今日は尻上がりな感じがあり、後半の「おともだち」「ダダ」が特に良かった。「ダダ」では今ネットで最もホットな男、野々村竜太郎の物真似も。天国のライブに時事ネタは欠かせない要素だけど、今日はかなりヒット感あり。あれはぜひクオリティを高めて、賞味期限切れるまでやりまくって欲しいものだ。

(仮)天国の情報 天国のライブ日程

トランスパランス

トリはトランスパランス。以前ラストワルツで観た『ねこまじ』と同じ匂いを感じる女性3人によるコーラストリオ。
1曲目が「アヴェ・マリア」だったからあっちよりお上品な感じかしらん?なんて思ってたけど、そこから後はやっぱりと言うべきか、女の性(サガ)と可愛げと幾分かの天然が程良くブレンドされた面白味のある世界が展開された。ほうれい線の歌面白かったな。

それにしてもちゃんとやってる人達のコーラスワークってのは素晴らしい。ピッチが確かで美しい。コミカルな曲をやっててもそれは一緒で、なんでも品が出てきてしまう。
最後は「トランペット吹きの休日」を見事なアレンジで聴かせてくれた。うーん、ブラーヴォ♪

 
トランスパランス

おわりに

最初から最後まで面白い人達ばかりの良いイベントだった。こういうことを余所でやられてしまうのは悔しくもあるけど、まぁでも適所適材だったと思うことにしましょ。

今日通して観て、音楽とはまず第一に肉体的行為であるということを再認識させられた。
歌を唄う、楽器を弾く、どちらもフィジカルな面がまず前提として存在した上で、それより奥にメンタルな部分が存在する。フィジカル面を軽視したメンタル至上主義の音楽は残念なことこの上ない。

だからこういうイベントはただ楽しいだけじゃなく、本当に痛快で溜飲が下がる思いがする。もっと多くの人に観て欲しかったとイチ観客ながら思ってしまった。


ジンボ アラタ
Author ジンボ アラタ 98 Articles
東京都出身。日本工学院八王子専門学校コンピューターミュージック科卒業。その後は音楽とは別の道へ進むが、再び音楽の世界になんらかの形で関わって行こうと決意し、2007年より音楽イベントのオーガナイズを始める。